「DMM」偽メール架空請求

未だなくなる気配のない「架空請求」詐欺

架空請求による詐欺事例はインターネットの普及とともに急激に広がっていった深刻な事例です。
問題が大きく取り上げられるようになったのは2002年のことで、国民生活センターが初めて公に架空請求による詐欺事例が増えていることを伝えたところ、若い世代を中心に多くの被害報告がされるようになりました。

発覚当時から定番の手口となっていたのはアダルトサイトや出会い系サイトなど有料コンテンツを扱うサイトからの利用料請求です。

やり方としてはまず収集したメールアドレスに向けて「利用料や登録料が未納になっています。指定の期日までに払込がない場合、法的手続きに移行します」といった一方的なメッセージが送られるというのが一般的です。

発生が確認されてから既に15年以上も経過しているにも関わらず、全く同じ手口の詐欺事例は減ることはなく、逆に突発的に急増するといったことが繰り返されています。

ここ近年で最も大きな騒ぎになった架空請求事例として「DMM偽メール」があります。
こちらは有名な大手動画サイトである「DMM.com」から従来同様の架空請求メールが不特定多数に送信されたという事件です。

結果的に2017年2月に犯人グループが東京都で5人、埼玉県で3人逮捕されたことにより一応の収束となりましたが、被害額は10億円以上にもなるという計算もされており、ここ近年で最大の架空請求詐欺事件となっています。

なぜここまで被害が拡大してしまったのか

架空請求メールはネットを通じて行われるごくありふれた詐欺の手口であることから、おそらく年代を問わずほとんどの人がそのやり方を知っていることと思います。

にも関わらずなぜここまで被害が拡大をしてしまったかというと、それは新しく登場してきたネットサービスが背景にあります。

まず「DMM.com」はスマホ向けゲームを提供しているIT企業の中でも特に勢いのある会社です。
代表作として「刀剣乱舞」や「艦隊これくしょん」「グランブルーファンタジー」などアニメ化もされた数多くの有名作品が挙げられます。

同時にスマホやパソコン向けのアダルト動画サイトも運営しており、スマホを所有している全ユーザーのうち、DMMに関連しているサービスを全く利用したことがないという人が少なかったということがあります。

また請求方法として銀行振込ではなく、コンビニで購入できるギフトカードを指定しているというところも特徴的です。

ギフトカードを使って支払いを促す方法は近年増えてきていますが、送金方法が簡単なのと自分でもスマホゲームの課金によく使用しているため詐欺への支払いへの心理的ハードルを下げているということが伺えます。