診療報酬詐欺

バラエティ番組で有名なタレント医師の起こした診療報酬詐欺

診療報酬詐欺とは医療行為を行う診療所や病院において、実際に行われていない治療を元に診療報酬を請求するという方法です。

2016年7月に、バラエティ番組などで有名になった元タレントの脇坂絵理子氏が詐欺罪で逮捕をされたことにより一気に「診療報酬詐欺」という名称が知られるようになりましてあ。

脇坂絵理子氏は美容クリニックを経営しており、運営において医師の知識をもとに虚偽カルテやレセプトを積極的に作成したということが判明したことで重い刑事責任を課せられることとなりました。

この事例では共犯者の会社役員の男性と共犯し平成24年~26年までの間に自身の診療施設「Ricoクリニック」において診療報酬約154万円をだまし取っていたといいます。

平成26年11月にはクリニックは閉鎖することとなりましたが、数度にも渡り診療回数の水増しや不正請求をしており自治体に請求した約6900万円もの診療報酬のうち大半は不正なものであったということがわかっています。

診療報酬詐欺事例としては2017年3月に大阪市浪速区の歯科医院で約400万円の不正受給により運営法人の理事長が逮捕される事例や、群馬大学医学部附属病院で手術に関する不正受給が発覚しており、ここ近年になって増加してきています。

苦しい病院経営から詐欺に手を染める場合も

かつては「白い巨塔」とアンタッチャブルな印象のあった医療現場ですが、現在ではそうしたかつての権威はかなり失われてしまっています。

全国的に病院経営は苦しい状況におかれており、小さな個人クリニックや診療所では毎月の資金繰りにも苦しむというケースが多く見られます。

そのきっかけとなったのが2014年の診療報酬の改訂で、以前までとくらべて大幅に診療報酬として受け取れる額が減り、設備投資や人件費をまかないきれずに悪循環に陥るということもよくあります。

診療報酬を受け取るためには専用の請求書類である「レセプト」を作成しなくてはいけないのですが、この審査は年々厳しくなっており、いかに巧妙に診療報酬を水増しするかということに心血を注ぐ病院もあるようです。

先に紹介した群馬大学医学部附属病院における不正請求では、例えば腹腔鏡手術において医科点数表にない施術をしたにもかかわらず点数のある行為をしたように見せかけたり、高い点数の施術として記録をしていたりといったような感じです。

病院経営の悪化は医療制度そのものの成り立ちを壊す深刻な問題です。
他の詐欺事例同様に単に犯罪で終わらせてしまうのではなく、根本的に病院施設の運営を安定させていくための社会的な対応策が国を挙げて求められています。